在宅勤務とは?メリットや課題・必要なスキルを徹底解説

「在宅勤務」という言葉を耳にした方は多いと思います。実際に在宅勤務を行ったことのある方も多いでしょう。在宅勤務はテレワークの一形態であり、自由なイメージがあります。その一方で「どうも仕事がしにくい」など、オフィスでの勤務と勝手が違うことに戸惑う方もいるのではないでしょうか。

在宅勤務は工夫しだいで、高いパフォーマンスの実現が可能です。良い評価と結果につなげるためには、一定のスキルが欠かせません。

本記事では在宅勤務を行う上で注意すべき7つの課題と、求められる4つのスキルを取り上げ、解説していきます。

目次

在宅勤務はテレワークやリモートワークの1つ

テレワークは、離れた場所を意味する「テレ」と、働くという意味の「ワーク」を組み合わせた造語です。リモートワークも同様の意味を持ちます。

テレワークには、以下にあげる3つの形態があります。

形態 働き方
在宅勤務 IT機器などを利用し、自宅で働く
施設を利用する サテライトオフィスやコワーキングスペース等を活用
モバイルワーク 移動時間を活用して仕事をする


本記事では上記のなかでも在宅勤務に絞って、解説を進めていきます。

在宅勤務のメリット

在宅勤務にはオフィスでの勤務では得られない、以下のメリットがあります。

・高齢者の介護や子どもの世話をしながら、仕事を進められる
・長い通勤時間から解放され、通勤費もカットできる
・遠隔地にいる方でも、転勤せずに働ける
・災害が発生し交通網が寸断されても、電気とインターネット回線が確保されていれば業務を継続できる
・感染症にかかるリスクを低減できる

在宅勤務を行うことで、介護や出産をきっかけに人材を失う事態を防げます。また台風や大雨、地震などの自然災害や、新型コロナウイルスなどの感染症が発生した場合でも、仕事を継続できることは大きなメリットとなります。

加えて、在宅勤務では自由な環境であるため、仕事のストレスが軽減されること、また成果につながるアイデアが出やすいこともメリットにあげられます。

在宅勤務を実行する上で発生する7つの課題

在宅勤務は周囲の環境に関わらず仕事を進められることがメリットです。一方で在宅勤務を円滑に進めるためには、さまざまな課題をクリアする必要もあります。

ここでは7つの課題を取り上げ、解説していきます。

機器やシステムを問題なく使えるか不安

たいていのオフィスではシステム管理部門やシステム管理担当者がおり、あらかじめ従業員が使う機器の設定を行っています。このため一般の従業員はIT機器やソフトウェア、クラウドサービスなどの設定方法を知らなくても、使うことができます。

一方で在宅勤務の場合、システム管理担当者が自宅を訪問してセッティングしてくれるわけではありません。そのため、「自分にはできるだろうか?」と、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

この不安は、アドビシステムズが2020年4月13日に公表した「ビジネスパーソンのテレワークスキルに関する調査結果」にも現れています。特に40代以上では4人に1人の方が「テレワーク時にITツールなどの使い方で困ったときに、気軽に相談する方が社内にいない」と答えています。不安の中、テレワークを進めている実情が伺える結果といえるでしょう。

業務に集中しにくい

在宅勤務はプライベートな空間である自宅で作業を行うため、どうしてもオフィスにいるときのように、業務に100%集中しにくいことが課題です。あしたのチームが2020年4月20日に公表した「テレワークと人事評価に関する調査」によると、以下のとおりデメリットをあげた回答も少なくありません。

・オフィスより仕事がはかどらない(38.7%)
・ダラダラと長時間仕事をするようになった(14.5%)
・家事・育児・介護の負担が増え業務がはかどらなくなる(11.7%)

そもそも業務が中断される要因には、以下のようにさまざまなものがあります。

・電話がかかってきた時の対応
・来訪者への応対
・乳幼児など、子どもの世話
・高齢者の世話や介護
・ペットの世話や相手

在宅勤務ではこのような状況のなか、きちんと仕事を行い成果を上げなければなりません。

コミュニケーションの取り方が難しい

あなたが在宅勤務となった場合、その場所に同僚や上司がいるわけではありません。テレビ会議やチャットツール、電子メールなどのコミュニケーション手段は用意されているものの、基本的には内容を要領よくまとめて伝えることになります。そのため、オフィスで行われている以下のコミュニケーションは難しくなります。

・同僚との雑談
・ちょっとした相談
・会議をするほどでもないレベルの打ち合わせ

このように同僚や部下に対して、気軽にコミュニケーションを取れなくなることは課題の1つです。テレビ会議などでは、仕事に関する情報だけしか挙がらなくなることも多いでしょう。もちろん業務効率の上では望ましいことですが、一方でドライな人間関係となってしまう可能性は否めません。

上記の課題は、工夫次第で乗り越えることも可能です。たとえば「Slack」で雑談用のチャンネルを設けておけば、コミュニケーションの円滑化に役立つことでしょう。場合によっては、仕事に役立つアイデアが生まれるかもしれません。

自分の評価が正当に行われるか不安に感じる

在宅勤務では、上司が見ていない環境で仕事を進めることになります。そのため自分自身が正当に評価されるのか、不安に感じる方も多いことでしょう。あしたのチームが行った調査結果では評価に関する不安やデメリットについて、以下の項目を上位に挙げています。

・サボっていると疑われているのではないか(28.0%)
・頑張りが評価されにくい(16.9%)
・仕事ぶりを評価してもらいにくいのではないか(16.7%)

このようにオフィスと異なる環境で仕事を行うことへの不安が少なからずあることも、在宅勤務における課題の1つです。

部下の時間管理が難しい

「在宅勤務できちんと働いているのだろうか?」という点を気にするのは、管理職も同様です。このため、部下の時間管理をどうするかという点も課題の1つにあげられます。

自宅にいても上司の時間管理を受けなければならない背景には、働かなかった時間は賃金を支払わない「ノーワークノーペイ」の原則があるためです。一般社員の給与は月1回支払われますが、適用されている給与形態は「月給日給制」や「日給月給制」のどちらかが多いです。これらの給与形態では、欠勤や遅刻した場合に基本給から控除する必要がありますから、勤怠管理が必須です。

もっとも裁量労働制などの「みなし労働時間制」が適用されている方は、会社としてもわざわざ時間管理をする必要がありません。しかし適用を受けられる従業員には条件があるため、時間管理を要さない従業員は多くありません。事実、厚生労働省が公表する「平成31年就労条件総合調査」では、みなし労働時間制を採用していない企業が全体の85.8%と多数にのぼっています。

このため自宅にいる従業員を時間管理することはナンセンスであることがわかっていても、上司は勤怠管理をしなければならない現実があります。なかには部下のPCの画面がランダムに撮影され、上司に送信される「社員PC管理ツール」もあるようです。適正な給与額を計算する上で必要とはいえ、過度な管理は在宅勤務の良さを損ないかねません。

オフィスで働いているときよりも、マネジメントに工夫が必要

在宅勤務で管理職が気にする点は、勤務時間にとどまりません。管理職は部下の仕事を間近で見られないなかで、部下の管理や評価をどうすべきか模索することになります。

Unipos株式会社は2020年4月に実施した調査で、全体の半分超に当たる56.1%の管理職が「テレワーク導入前よりも、部下の仕事ぶりがわかりにくい」と回答しています。また仕事ぶりがわかりにくい理由については、あしたのチームが行った調査結果において、以下の項目が上位にあがっています。

・勤務態度が見えない(72.6%)
・成果につながる行動(アクション数、内容等)を細かく把握しづらい(67.1%)
・勤務時間を正確に把握しづらい(45.2%)

そもそも職場環境が変われば、マネジメントや評価もこれまでと異なる工夫が必要です。あしたのチームが行った調査では、人事評価制度について以下の結果を得ています。

・管理職の半数以上が、今の人事評価制度を改定する必要があると考えている
・テレワークに適した人事評価制度で最も多い回答は、「成果(数値結果)をもとにした評価制度」で全体の77%

このように在宅勤務が普及するに従い、多くの企業では成果に応じて評価する「成果主義」を採用することになるでしょう。働き方だけでなく、評価や管理の仕方も変える必要に迫られるといえます。

肩こりや腰痛になりやすい

在宅勤務では、パソコンに向かう作業が多くなりがちです。特に在宅勤務では狭い家の中にいるわけですから、どうしても椅子に座ったままとなり、体を動かす機会も一日の歩数も少なくなりがちです。このため、肩こりや腰痛になりやすい点も課題の1つです。

ピップ株式会社は2020年3月16日に公表した「会社員の勤務状況の変化と体の不調に関する調査結果」で、以下のとおり示しています。

・在宅勤務を始めた方のうち、肩こりや腰痛を感じるようになった方は全体の74.2%
・肩こりや腰痛を感じている方のうち、48.8%の方は仕事用の机がないなど、普段と違う姿勢を要因にあげている

特に「普段と違う姿勢」により肩こりや腰痛が起こる理由について、調査結果では以下のとおり指摘しています。

・会社にあるような作業デスクがない
・机の高さが合わない
・会社より照明の照度が低く目を凝らす
・会社よりも椅子が良くない

このため在宅勤務を行う場合はパソコンなどのIT機器だけでなく、疲れにくい机や椅子の準備も重要です。

在宅勤務で求められる4つのスキル

ここまで解説したとおり、自宅でテレワークを遂行する「在宅勤務」では、さまざまな課題があります。この課題のなかには、各自の努力で克服できるものも少なくありません。ここでは在宅勤務で求められる4つのスキルを解説していきます。

その1:ITスキル

在宅勤務を行う場合は、以下にあげる機器やソフトウェア、サービスの設定を自分で行わなければなりません。

・パソコンやネットワーク機器(ルーターなど)の接続方法や設定
・業務で使用するソフトウェアや、セキュリティ対策ソフトのセットアップ
・業務で使うクラウドサービスの登録や初期設定

とはいえ上記の項目は、家庭でパソコンを使う場合でも必要な作業です。このため「自ら使うパソコンやインターネットへの接続を、自分自身で行う」程度のITスキルは身につけておく必要があります。

上記のスキルは、決して高いレベルを要求されているわけではありません。パソコンの使い方などは図をふんだんに使った書籍が販売されていますから、自ら積極的に学ぶことで確実に身につけられます。この機会に書店であなたに合った書籍を選び、ITスキルを身につけましょう。

その2:職場のルールを守る

在宅勤務では自宅で働けるため自由な気持ちになりがちですが、給料を受け取る立場である以上、職場でのルールを守ることは欠かせません。特に以下のような行為はやめましょう。

・在宅勤務での勤怠ルールを守らない
・オンライン会議に参加しない、または音声をミュートにするなど会話を聞かない
・建設的な会話をしない

このようなことを行っていても、その場で特に注意されないかもしれません。しかし上司は誰が会議にきちんと参加しているか、また部門の業績向上に貢献しているか、しっかりチェックしています。そのため以下の状況となった場合、早速リストラの対象となってしまいかねません。

・将来、オフィスでの業務が再開された場合
・企業業績が大幅に悪化し、人員整理が必要となった場合

あなたの身を守るためにも油断せず、ルールを守ることが重要です。

その3:自己管理スキル

在宅勤務では、本人の責任によらない理由で仕事を中断する場面も多く発生します。またテレワーク全般にいえることですが、以下のような誘惑にも注意しなければなりません。

・すぐゲームを初めてしまう
・つい仕事と関係ないサイトを見てしまう
・仕事を先送りにしてしまう

自宅だからといって安心し油断していると、締切日が近づいた際にあわてることになります。特に在宅勤務で働いているときこそ、スケジュールを立て予実管理をしっかり行わなければなりません。逆に自宅でもきっちり仕事ができる方は信用され、よい仕事を任されやすくなります。

加えて仕事を行うためには健康管理を行い、以下の不調を防ぐことも重要です。

・運動不足による疲れやすさ
・過食による体重の増加
・食事をきちんと取らないことによる体調の悪化
・睡眠不足による体の不調

このため自宅にいても、毎日規則正しい生活を心がけましょう。加えて在宅勤務では自宅にこもりがちですから、ウォーキングなど適度な散歩もおすすめです。

その4:円滑にコミュニケーションを取るスキル

在宅勤務の場合、オフィス内で行われるコミュニケーションのように、場の空気や雰囲気などはなかなか考慮されません。文字や言葉でのコミュニケーションがすべてとなりますから、相手に誤解を与えないことは極めて重要です。

特に初対面の方とコミュニケーションを取る際には信頼関係の「貯金」がないため、ちょっとした行き違いで大きな誤解を招きがちです。このため表現に細心の注意を払い、コミュニケーションを取ることが求められます。

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一方、これまでオフィスで何度となく顔を合わせていた方の場合は信頼関係の貯金があるため、気軽にコミュニケーションを取れるかもしれません。その場合でも、礼を欠かない対応は必須です。一度信頼関係が壊れると、それを取り戻すことには多大な労力がかかることに留意し、コミュニケーションを進めましょう。

在宅勤務は、各自の心構えとスキル向上が重要

在宅勤務は自由な働き方の1つですが、成果が求められることには変わりありません。このため「仕事をきちんとやる」という心構えと、自己管理やコミュニケーションスキルの向上が必要です。これらの取り組みを行うことで、在宅勤務でもオフィスにいるとき以上のパフォーマンスを実現することが可能です。

もちろん、在宅勤務を行うためのITスキルも欠かせません。チャットツールやビデオ会議システムに加えて、toaster teamに代表されるチームコラボレーションツールによる業務の可視化がおすすめです。

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